昔にくらべて、最近の子どもたちは体力がなくなったといわれています。確かに元気に走り回る子どもたちの姿を見ることも少なくなった気がします。
親としては子どもにはしっかりと体力をつけて、外で遊んだり、スポーツに取り組んで欲しいものです。
でも、今の子どもたちは、小さなころから、車やベビーカーでの移動が増え、大きくなったら家でゲームばかりです。これでは子どもの体力がなくなるのも無理はありません。
では、どうやったら子どもにしっかりと体力をつけることが出来るのでしょうか?ここでは、子どもの体力のつけ方をみていきましょう。
どうして子どもの基礎体力が落ちているのか
子どもは生まれてからの1年間で大きく成長します。寝ることしかできなかった子どもが、ハイハイをはじめ、立ち、歩くことが出来るようになります。
成長の著しいこの時期は、親も「次は何ができるようになるんだろう。」と楽しみにしていますが、子どもが歩き始めると、関心は言葉や生活にうつっていきます。
親の関心がなくなっても、子どもは兄弟や近所の子たちと遊びながら、いろいろな動きを覚えていくのですが、現代では子どもも少なく、遊ぶ場所もあまりないため、子ども同士での運動学習が不十分になってしまっています。
また、習い事をしている子どもも多く、学校のスケジュールもいっぱいです。子どもたちは思った以上に時間がありません。
小学生では、習い事などで運動をしている子と、学校から帰ると全く運動をしない子の二極化が進んでいます。
体力テストの平均値は少しずつ上がってきてはいますが、できる子とできない子の差が広がってきているのが現状です。
子どもの体力をつける遊びとは?
子どもは特別なトレーニングをしなくても、遊びの中で、「歩く」「走る」「とぶ」「投げる」「捕る」といった基本的な運動能力を身につけていきます。
昔は自然と身につけていた能力ですが、今の子どもたちは、遊び仲間や遊ぶ場所の減少で、残念ながら、なかなか自然に覚える、とはいかなくなってきています。
そこで、大人の手助けが必要になってくるわけですが、なにも特別なことをする必要はありません。一緒に楽しく遊んであげるといいでしょう。
例えば、鬼ごっこ。
誰もがよく知っている遊びですが、鬼ごっこは「歩く」「走る」の基本動作を相手の反応を見ながらおこなう必要があります。鬼の動きに合わせて、急に向きを変えたり、走ったり、スピードをあげたり、ゆるめたり……。かなり体力を必要とする遊びです。鬼ごっこはすべてのスポーツの原点となる遊びといえます。
高オニ、色オニ、氷オニなど、バリエーションも豊富なので、親世代に流行った鬼ごっこ、子ども世代で流行っている鬼ごっこを教えあいながら遊んでみるのもいいですね。
子どもが飽きてきたら、ルールを変えてみましょう。
・スキップだけで逃げなくてはいけない
・タッチは両手でしなくてはいけない
・ケンケンで逃げなくてはいけない
など、条件を加えるだけで、子どもは興味をしめします。
もちろん、遊びなので怒るのは厳禁!
あくまでも楽しく取り組みましょうね。
「投げる」「捕る」という動作ができない子供も増えています。
ボール遊びができない公園がふえて、子どもたちは「投げる」という動作をする機会が減っているからです。
しかし、ボールを使わなくても「投げる」動作をする遊びがあります。
紙飛行機とばしや折り紙のシュリケン投げでも十分に「投げる」動作の練習になります。これなら、部屋の中でも遊ぶことができますね。
子どもの体力をつける生活習慣とは?
子どもの体力をつけるには、運動だけでは不十分です。
体力をつけるには、運動・食事・睡眠のバランスが大事になってきます。
・食事
丈夫な身体作りに必要な栄養として、カルシウム、ビタミン、たんぱく質があげられます。
カルシウム…乳製品、小魚類、大豆製品、野菜類、海藻類
ビタミン…魚類、きのこ類、たまご
たんぱく質…肉類、魚類、大豆製品、たまご、乳製品
などをバランスよく摂取する必要があります。
また、朝食をきちんと食べることも大切です。
全国体力調査では、毎日朝食を食べる子どもたちは、朝食を抜く子どもたちよりも運動時間が長いという結果が出ています。(平成22年度 文部科学省 全国体力調査)
・睡眠
睡眠についても、小学生では睡眠時間が8時間以上の子どもは体力が高くなっています。(平成22年度 文部科学省 全国体力調査)
4歳~6歳では、10時間以上の睡眠時間が望ましいとされています。
つまり、基本的な生活が整うことで、体力をつけることができるということなのです。習い事などで睡眠時間や食事の時間を削ってしまっては本末転倒です。
まとめ
子どもの体力をつけるには、運動・食事・睡眠の3つの要素が不可欠です。そして、この3つの要素を満たすには、親の手助けが必要になります。
子どもたちが何かスポーツを始めたいといったときに、十分な体力をつけていられるように、生活習慣を見直していきましょう。
参考
子どもの体力向上のための取組ハンドブック(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/kodomo/zencyo/1321132.htm
子どものスポーツ医学入門
NPOライフサポート協会著
スポーツの得意な子に育つ親子遊び
白石 豊著