「スポーツができる子は、学校の成績もいい。」こんなことを思ったことはありませんか?近年、スポーツ界では多くの若手選手が活躍しています。競技の練習時間が長いにも関わらず、学業でも成果を出している選手という話がテレビやインターネット等で報道される場面を目にします。
「実際、スポーツができる人は学業でも優秀な成績を修めるの?」その疑問について紐解いていきたいと思います。子どもの脳を育てる効果的な運動方法についても紹介していきますので、お子様を育てている保護者の方に参考にして頂ければと思います。
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「運動すると頭の回転が良くなる」と言われる理由
私たちがスポーツをする時、歩く・走る・飛び跳ねる・準備運動をするなどの行動は特に考えることなく行うことができますよね。実は、これらの一連の動作が私たちの脳を活性化させているのです。
運動の動作は「インプットとアウトプット」の2つの要素を持つ
例えば、子どもが1歩足を踏み出して歩くとします。その1つの動作には「足を一歩踏み出してください」という脳からの指令であるアウトプットと、「足の裏が地面に付きました。」というインプットが瞬時に行われているのです。
脳の神経細胞が増える
「運動すると、脳由来神経栄養因子(BDNF)という物質が脳の中でさかんに分泌されます。このBDNFが、脳の神経細胞(ニューロン)や、脳に栄養を送る血管の形成を促す。」という調査結果を、ハーバード大学医学部のジョン・J・レイティ博士が発表したのです。
脳の神経細胞が増えることで、細胞同士を繋ぐ道(シナプス)が太く、しっかりしたものになります。その結果、情報伝達のスピードが上がるのです。
記憶力が高まる
運動をすることで私たちの記憶を司る「海馬」が大きくなることで、記憶力が高まるという実験結果が報告されています。脳の神経細胞を増やすことで、細胞同士と繋ぐ道(シナプス)が太さに比例して、海馬が大きくなっていきます。
記憶力が高まることで、学校の授業で暗記が必要なものを記憶に残しやすくなるのです。つまり、運動をすることで海馬での記憶能力が高まり、暗記に強くなるということが言えます。
脳を育てる効率的な運動方法
せっかく運動をするなら、効率よく脳の力を高めたいですよね。ハーバード大学医学部のジョン・J・レイティ博士は「一定時間にわたって心拍数を上げるタイプの運動」が脳を育てるのに効果的だと語っています。ここでは、ジョン・J・レイティ博士の考えを元に「脳を育てる効果的な運動方法」を紹介します。
最大心拍数を把握する
最大心拍数とは、心臓が1分間に収縮できる回数の限界値を示しています。今回は簡単に最大心拍数の目安を、「カルボーネン公式」により算出していきます。
最大心拍数=220-年齢で求めることができます。例えば10歳の子であれば、210。15歳であれば、205です。自分の最大心拍数の目安を把握することが、効率的な運動の第一歩です。
週2回はランニング
ジョン・J・レイティ博士は「最大心拍数の75.90%まで上がる運動を短めに、週2回行う」ことを推奨している。最大心拍数75.90%の運動とは、少しきつめのランニングを示します。少し息が上がる具合のランニングです。
子どもにとってきつい運動は長く続けることが難しいので、短く時間を区切ってランニングを実施すると良いでしょう。サッカーやバスケなどの、集団スポーツを取り入れるとゲーム感覚があるので運動をやらされている感覚を払拭できるかもしれません。
週4回はウォーキング
ジョン・J・レイティ博士は「残りの週2日は最大心拍数が65.75%までの運動をやや長めに行うのが理想」であると言います。最大心拍数が65.75%の運動とは、ウォーキングを示します。子どもと一緒に散歩をすることで、運動とコミュニケーションの両方を図ることをおすすめします。
身体と同時に頭を使う運動が効果的
子どもの中には運動をすることに苦手意識を感じている子もいます。無理にサッカーやバスケットボールなどの競う競技をさせる必要はありません。ジョン・J・レイティ博士は、頭を良くするという観点では「ヨガや空手」を推奨します。
ヨガや空手は、自分の身体の動きを意識させる運動なので脳に良い刺激になるとのこと。
スポーツするなら、集団競技という意識を捨て子どもにあった運動やスポーツを選択しましょう。
出来れば朝に実施する
脳は運動し、脳内の血流が活発になるタイミングで学習するのが1番効率的な学習法です。朝起きて学校に向かう前や、授業と授業の間に運動をすると実りがある学習へと繋がります。
注意点
運動だけをすれば脳が活性化するというわけではありません。運動はあくまで学習環境を整える方法の1つです。勉強をすることが成績を上げるための土台ということを忘れないようにしてください。
また、無理に子どもに運動をさせることは大きなストレスになります。子どもの好き・楽しいと思える運動をさせましょう。毎日運動させるのは大変なので、時間や子どもの気持ちに余裕がある時に運動するという意識を持つことが大切です。
子どもの運動と脳への関係性
子どもの運動と脳の関係性についてお話しました。効率的な運動方法を紹介しましたが「子どもが楽しんで運動できる環境作り」が大切です。効果的な運動方法を頭の隅に置きながら、子どもと一緒に運動を楽しむことからまずは始めてみましょう。